Re:心を明るくする雑談 -
美香mika
2017/02/26(Sun) 21:50:20
*・゜゚・*:.。..。.:*・大切な存在・*:.。. .。.:*・゜゚・*
––––––––あなたは大切な人がいますか?
––––––––あなたは生きるってなんだと思いますか?
––––––––あなたは今、幸せですか?
––––––––あなたは、大切な人とかけがえのない人生を送っていますか?
–––大好きな人はいますか?
1,辛い毎日
私は山崎 沙奈(さな)。中学3年生。私には大切な人がいません。学校では、クラスからいじめられ、家では親から虐待され、辛い毎日を過ごしています。学校に着くといつも私はしにたいと思っています。教室に入ると一気に賑やかな空気がなくなり、静かになり、そしてまた賑やかになる。机には落書きの文字。黒板には嘘の情報が書かれている。【山崎沙奈は数学教師の岡村を愛していた!岡村に言ったら「**」って言ってた!クラスの恥。恥知らず!】と。クラスメイトからは無視され、物を隠し、嫌がらせをし、暴力を振るわれ、挙げ句の果てには私の存在なんかいないように避ける。もともと私なんかいないみたいに、存在してないみたいに。先生に言ったことあるけど「お前が悪い」と言うばかりだ。校長に言おうとしたけどダメだった。あの校長は、私がいじめられていることを知っている。だからこそ避けている。自分が校長を辞めさせられるから嫌なのだ。かと言って、親に相談してもダメだ。親は私の話すら聞いてくれない。家に帰れば暴言を吐かれる。そして、何か親の気に触ることをすれば暴力を振るわれる。もちろん、両親だ。母親も父親も私を鋭い目で見る。
辛くて仕方なくて自傷行為した。自分が悪いんだ…私がこの世にいるから…私がいけないんだ…。
…最悪だ…。私の人生最悪だ。
こんな毎日をずっと送って来た。我慢して来たけどもう出来ない…
消えたい。
2,出会い
私は決意した。マンションの屋上から…
今日も学校では無視され、嫌がらせされ、暴言言われ、暴力振るわれ教師からは「お前がいけない」と責め立てた。家に帰っても暴言言われ暴力を振るわれた。
両親が2人だけで旅行へ行った。私を置いて。いつもの私なら辛い。苦しい。寂しい。
でも、今の私にはそんな感情はない。むしろ、親がいなくて好都合だ。
飛び降りよう。マンションの屋上へ向かい…そして…足を宙に浮かせた。
…さようなら。
すると。「ワオン!」
片足を浮かせたまま私は周りを見た。誰もいない…が…足元には何かいる。
子犬だ。私は足を宙に浮かせるのを辞め、子犬と目線が合うようにしゃがんだ。
「…お前…傷だらけじゃん…。」子犬は傷だらけだった。そう。まるで…
「私みたい…」私は小さく撫でた。子犬も尻尾を振った。嬉しいみたい。
でも私には微笑むことすらできない状態。でもなぜ子犬がここに?逃げて来たのだろうか。
いや、そんなこと私には関係ない。だって私は今から空へ行くんだから。だから関係ない。
もう一度、片足を宙に浮かせると「ワンワン!!」子犬が吠えた。でも、力弱い声だ。
でも、表情では怒ってるようだ。
「ワンワン!ワン!!」…え?もしかして、今から私のやることをやめろって言いたいの?そう思うとそれが通じたみたいでもう一度「ワン!」と鳴いた。
「ごめん…でも私には生きる価値ないんだ。」すると子犬は私の靴下を噛んで引っ張った。そしてそのまま私は子犬が引っ張った方へとよろけた。私はもう一度端っこへ行って片足を上げたけど…また子犬が邪魔をして来た。しょうがない…明日にしよう。そう思い家に帰った。でも子犬は離れなかった。そういえば首輪をしてない。飼い主がいないのか。いやでも、それにしても傷跡が今できたように見える。逃げ出したのか?
行くあてがないようだったから私はその子犬を両親には秘密で保護した。どうせ、飼うのは今日までだけど。
3,過去
さあ。今日こそは空へ旅立とう。と、思ったが…子犬が私から離れない…。
…ウザい。
正直思った。私は1人になりたいし、消えたい。なのに離れない。まるで行かせないかのように。もう…
「私に構うな!!どっか行け!」私は怒鳴ってしまった。すると子犬は怯え、ドアの隙間から逃げた。やっと行った。けれど床には紙切れが落ちていた。汚れている。中を開いて読んだ。
《この手紙を読んでくれた方へ
突然すみませんが、この子を引き取ってくれませんか?うちではもう飼えません。1ヶ月前に、父に私がねだって、やっと手元に抱けた子犬です。けれど、父は子犬に暴力を振るいました。子犬は怯え逃げ出そうとしましたが、父は普段の父ではなくなり、豹変しました。逃げるなと怒鳴りまた暴力を…。これ以上この子を飼うと、この子の命が危ない。そう思い、飼うのをやめました。どうか、この子を引き取って上げてください。どうかこの子を、私たちの分まで幸せにしてあげてください。お願いします‼︎》
そうか、あの子犬は私のように暴力を振るわれ、辛い思いしてたんだ。
私と一緒だ。すると、私の心の中の何かのスイッチがなった。私は急いで外へ出た。
4,信頼
何分…いや、何時間たっただろうか。どこ探しても見つからない。最初は足跡があったけど、だんだんと消えて行った。あの子犬はどこにいるだろうか…私が追い詰めたせいだ…。
あ…やっぱり私、生きてちゃいけないんだ…生きてたら誰かが不幸になる。
私のせいだ…。私のせいで…子犬は…。私は久しぶりに涙を流した。すると。
「クンクン」足元を見ると、子犬がいた。
「子犬!もう、どこ行ってたのよ!心配したじゃない!…あ、私がいけないんだったよね…。ごめんなさい。私…私も、君みたいに毎日が辛いんだ。学校では暴力振るわれて家でも振るわれて、どこにも…私の居場所がないんだ…。」私はポロポロと涙を流した。子犬は悲しそうな眼差しで見ているが構わず続ける。
「辛くて苦しいんだ。もう生きたくないの。消えたいの。だから私、昨日屋上で…。ごめんなさい…私…こんな私のところにはいない方がいいよ。私といるときっと不幸になる…。」
けどしばらくしても子犬は離れなかった。ただひたすらに悲しそうな顔で見つめていた。まるで「大丈夫だよ」って言ってるみたいに。優しいな…こんな私といてくれるなんて…。
「ありがとう…。」そう言うと子犬は満足したように尻尾を振った。この子、人懐っこい性格なのかな。
それから私たちは分かり合えた。つまり…多分…信頼し会えたんだと思う。
5,名前
しばらくして、両親が帰ってきた。
「おい、沙奈ぁ‼︎‼︎夕飯できてんのか‼︎?洗濯は‼︎?皿洗いは‼︎?風呂掃除は‼︎?」
あぁ…**の続きが始まった…。
両親が旅行行ってたから、学校休んでいた。いつもなら両親の許可がないと休めないが、いなかった分自由だ。でももうそれは終わり。
「夕飯出来てます。洗濯も、お皿洗いも、お風呂掃除も全部出来てます…。」「なんだ?その弱い目は‼︎?」「ごめんなさい…」「なぜ弱く言うんだ?しつけが足りないようだな。」そう父は言い、また私を**った。痛い…。すごく痛い…。でも、声を出すと父はもっと怒鳴り、母もそれに加わる。
30分くらいでやっと終わった。部屋に戻って、子犬の姿を確認した。よかった。ちゃんと大人しくいた。私は子犬がいることにホッとしていたが、本人は顔が青ざめていく。
あ、そっか。こんな血が出まくってるのみたら…怖いよね…。離れていくよね。
そう思っていたけど、離れはしなかった。むしろ近づいてきた。大丈夫?と話しかけてるみたい。「また親に暴力振るわれたよ」私は正直に言った。伝わらないのに、私は何度も言った。「辛いよぉ…苦しいよぉ…どうすればいいの…」子犬は恐る恐る近づいて、そして私の膝に乗っかった。慰めてくれてるんだ。きっと。
「君、体は小さいのに、心は大きいんだね。」何故だろう。不思議と子犬にはなんでも話せちゃう。これはきっと、この子が安心してって言ってくれてるからだ。
そう思った瞬間ひらめいた。「そうだ‼︎名前‼︎君の名前は、優心。優しい心って書いて優心‼︎あ、私まだ名前言ってなかったね。私の名前は沙奈。よろしくね。」子犬は自分の名前をくれたから喜んでるようだ。また一つ、信頼度が増えていく。
6,学校
今日からまた学校へ行く。そう思うと気が重い。またクラスでは…。でも、優心を家に置いて行くわけにはいかない。もしどこかへ行ってしまったらそれこそ事件だ。仕方ないので学校へ連れて行くことにした。私がいじめられる姿みられるのは悔しいけど、それでも誰か私の味方でいてくれるだけでもすごく嬉しい。さぁ、教室への一歩を踏み出そう。
「お、おはよう‼︎」もちろん返事はない。分かってる。机にも黒板にも相変わらず落書きだらけだ。分かってた。下駄箱にも生ゴミがあったり、机の中だってゴミが詰め込まれてる。それは想定内だ。「あっれ〜?もうしんでるかと思った〜‼︎」「うっわ‼︎汚ったな‼︎」「ちょっと〜ゴミ持ち込むとか最低じゃん‼︎家のゴミは自分で捨てなさいよ‼︎」「ま、でもゴミにはゴミがお似合いよ‼︎」クラス中がどっと笑った。そんなのもういい。聞き飽きた。だからもうどうでもいい。
優心が私の味方でいてくれてるだけで、心がすごく軽い。私がいつものように、悲しい顔をしないのが面白くないのか笑いは一気に収まった。すると、クラスのリーダーの子が「休み時間屋上に来なさい」と言った。また**られるんだな。
クラスのリーダーが呼び出すことと言ったら暴力だ。
約束通り、休み時間屋上へ行った。「あんた…何普通の顔なのよ。いつものように悲しい顔しなさいよ。もっと私たちを面白くさせなさいよ。」そう言うと私を**った。
やっぱりそうだ。でも私は泣かないし、悲しい顔をしない。だってもう味方がいるもん。
何度も何度も**った。さすがに痛すぎた…。私はしゃがみ込んだ。すると。
「ワンワンワン‼︎‼︎」え?優心だ。なんで?そっか、バックから逃げ出したんだ。
「なんだよこの犬は!?邪魔しないで‼︎私たちは今楽しい事してるんだから‼︎邪魔しないで‼︎」優心は私を庇った。優心は鋭い目でリーダー達をにらんだ。みたこともない強い眼差しで。
「ガルルルルルルル…」優心が初めて唸った。彼女達は怯えて逃げた。
「優心‼︎出ないでって言ったじゃない‼︎あ…ううん。まず、言わなきゃいけないことあったよね。助けてくれてありがとう。嬉しかった。」優心は私の顔を舐めた。
「くすぐったいよ〜」また、二人の信頼度が増えていく。
7,変化
あれから変わった。優心が私を庇ったあの日からクラスの空気が変わった。
〜昨日のこと〜
「ちょっと…そろそろやめない…?」「そうだよ。もう山崎さんをいじめるのはもうやめよう?今まで我慢してみて来たけど…もう耐えられない。」「そうだよ‼︎もうさすがにやりすぎだよ‼︎」「え…!!?ちょ!!!!何よ‼︎みんなだって楽しんでたくせに。やめようって言ってそれで自分がいい子アピールでもしたいわけ!?」「舞…。」「え!!ちょ!?あんた達も!?」「さすがにもうまずいって。あいつがもしいなくなったりでもしたら、全部俺らの責任だぜ?そうなったら今度は俺らが**を見る番だ。」「でももう先生には知られてるわよ。もう**だし…」「そんなことないよ。今やめても遅くない。後悔する前に行動しなきゃ。」
「なんなのよ…で、でもあいつはもう来ないと思うよ?私ら散々あいつを‼︎」
朝学校に着いて心が重いと思ったら…。みんな本当はこんなこと思ってたんだ。
「おはよう‼︎‼︎」私は勢いよく挨拶した。
それからというもの、学校でのいじめはだんだんと消えていった。いじめのリーダーは転校していった。まだ、完全には打ち解けてはいないけど「奈々ちゃん、おはよう」「…おはよう」と会**増えるようになった。だんだんとクラスに馴染めて来た。
家でも色々とあった。また父親から暴力振るわれた。でもそれは近所の人には知られてなくて。両親からの暴力は今回すごく乱暴だったから私はすぐに外に逃げた。遠くへ逃げたくて。父親はもちろん追いかけた。優心は私が逃げる姿を見て叫んだ。優心の鳴き声のおかげで近所の人は気づいた。偶然近所の人がいて、それでバレた。
「沙奈ちゃんのお父さんが沙奈ちゃんを**ってる‼︎」って。それから警察に通報してもらった。私はどれほど嬉しかったか…。私は警察の人から色々話聞かれた。それで、学校でのいじめのこと、家での両親からの暴力のこと、全部話した。もちろん、優心との出会いのことも。それから病院に入院した。治療をして、だんだんと回復していった。病院のお医者さんも、看護師さんもみんな優しく接してくれた。嬉しかった。久しぶりに人とたくさん喋った。久しぶりに笑った。久しぶりに楽しいっていう感覚が芽生えた。これも全部、優心のおかげだ。
8,あれから…
あれから5年がたった。私は大学生になっていた。いや、もうすぐで大学の卒業式だ。私は高校を受験し、見事合格。高校では中学よりもすごく楽しい日々を過ごせていた。そして、高校を卒業し、私は美術科の専門学校へと行った。私の夢はイラストレーターだ。イラストレーターをやりつつ、いつか、私のように辛い思いをしている子供達を支える仕事につきたいと考えている。大好きな人のために、私は夢に向かって進む。
あの日のことは、今でも昨日のことのように覚えている。
9,お別れ
あの後、私は退院した。みんなのおかげで完璧に傷は治った。傷跡は残っちゃったけど、それでも傷は無くなった。両親は警察に捕まった。『保護責任者遺棄罪』の罪で逮捕された。
面会しますか?と聞かれたことあったけど、正直両親の顔すら見たくなかった。
私はまだ未成年だったので、保護する人が必要だ。私の親戚の家に私は引き取られた。母親の妹だ。あの人も言っていた。「旦那さんに出会って、結婚してからあの人変わった。」と。その人とその旦那さんはすごく優しくしてくれた。初めて家族を持ったように感じた。優心も一緒に引き取られた。親戚の人とその旦那さん、従姉、私、優心。楽しい毎日を過ごせた。毎日が幸せに感じた。
でも、高校3年生の時。あの日は、大学の受験日だった。雪が降っていた。あちこちで電車が止まっていたり、車の事故があったりと大変だった。私はなんとか受験場所へと着いた。そして、受験を受けた。
その頃、優心の体は急変した。高3の秋くらいから優心は元気をなくしていた。病気になったのだ…。優心はそんな苦しい体でも私に何かあればすぐに慰めてくれていた。
優心が頑張っていることを願って、受験と向き合った。心の奥では分かってはいたが、やはりそうなった。受験が終わって、帰りにケーキでも買って行こうと思い、ケーキ屋へと寄った。その時。プルルルルルル…電話だ。
「はい、もしもし、柚月さん?どうしたんですか?あ、受験ちゃんと出来ました‼︎きっと合格できます‼︎自信ありあり‼︎‼︎…?柚月さん?」『~~~~~』…。…。…。
ガチャンッ
スマホを落としてしまった…。いや…。
急いで家に帰った。電車が止まってなかなか家には帰れなかった。そして2時間後、やっと帰れた。けれど、帰った時には…。
「優…心?」嘘だと思いもう一度、優心?と呼んだ。返事はない。
優心は…空へと旅立ってしまった…。「え…なんで…?なんで!!なんでよ‼︎優心‼︎‼︎行かないでよ‼︎‼︎なんで先に行っちゃうのよ‼︎‼︎私、まだ何も優心にちゃんとした感謝できてないし、もっと思い出作りたい‼︎優心‼︎起きてよ‼︎ねぇってば‼︎‼︎起きて…お願い…起きてよぉ〜‼︎‼︎」私はポロポロと涙を流した。「優心ね…さっきまで…起きてたんだよ。けど…その時がきちゃったんだよ…。」「やだ…やだよぅ〜‼︎‼︎優心〜‼︎‼︎」すると。
ピクッ
優心の耳が少し動いた。「優心‼︎私だよ‼︎沙奈‼︎分かる?」「クゥン」「お願い…行かないでよ…」「クゥゥン…」「やめてよ…そんな甘い声出さないでよ…そんな顔もしないでよ…そんな事されたら…私…。」「ワン」力のない弱い声だったけど、優心は一生懸命声を出した。「優心。」「ワン」「今までありがとう。本当にありがとう。私、優心のおかげで幸せに暮らせてるよ。優心のおかげ。ありがとう。私を見捨てないでくれてありがとう。大好きだよ‼︎‼︎」「ワン!」こちらこそありがとう。大好き‼︎そう言ってるように見えた。笑顔で。
それから優心は旅立ってしまった。大好きな優心の香り、優心の足跡、優心の笑顔。全部無くなった。大好きだった親友。私をいつでも見捨てなかった優心。私の味方でいてくれ続けた優心。いつも笑いかけてくれた優心。全部が思い出。
私、優心のおかげで幸せだよ。
大好き…‼︎‼︎
10,大好きな人へ
『大好きな人へ(沙奈ちゃんへ)
僕は今、天国にいます。元気だよ。沙奈ちゃんは元気?ちゃんとご飯食べてる?僕は最近食べ過ぎてます。大好きな沙奈ちゃんが隣にいないからすごく寂しいよ。会いたいよ。抱きしめたいよ。辛い時があったらまた慰めてあげたい。でももうそれはできないね。僕は幸せだったよ。最初の家族からは暴力受けられてすごく怖くて辛かった。でも、君に出会ってからは変わったよ。毎日が楽しくなったよ。初めて生きたいと思った。でも終わりは必ずあるよね。今までずっといなくなりたいって思ってたのに、初めてもっともっと生きたいって思ったよ。抱きしめたい。慰めたい。会いたい。
でも僕、少し我慢するよ。君といつかまた出会えるって信じてるから。いつもありがとう。仲良くしてくれてありがとう。大好きだよ‼︎ 優心』
END